グリーフワーク

〇グリーフワークとは

「グリーフワーク」は葬儀の機能として近年注目されているものです。愛する家族の一員を喪った家族は、悲しみに襲われます。これは特別なことでも病気でもなく、自然なことです。この悲しみは悲しむことにより自然に治癒されていきます。この遺族の悲しみの営みを「グリーフワーク」と呼びます。

グリーフワークは直訳すると「悲しむ作業」です。グリーフは英語で、通常の悲しみとは別の、特に死別などで引き起こされる深い悲しみ、非嘆を表す言葉です。

葬儀は、遺族の心の深い悲しみを思いやり、グリーフワークに役立つものとなることが大切です。このためには死別によって引き起こされる悲しみとはどんなものかを知る必要があります。

〇死別の非嘆の様々な局面

亡くなる人と深い愛情関係に結ばれていた家族、あるいは、突然の死に出会った家族が、死と対面してたどる心理的プロセスは次のように理解されます。

※以下は、E・キューブラー・ロス『死ぬ瞬間』により、死を告知された末期患者の心理プロセスの骨格を参考にしながら、野田正彰『喪の途上にて』、A・デーケン『死とどう向き合うか』などを参照にしてまとめたものです。

〔第1段階  衝撃〕

ショックを受けて取り乱す人、あるいは、ショックによって現実感覚が一時麻痺状態に陥る人がいます。表面的には平静ですが、内面ではショックを受けており、平静状態と呆然状態が交互に現れる例もあります。

〔第2段階  否認〕

死亡の事実そのものを認めず、きっとどこかに生きていると思いこんでいたり、あるいは、死亡の事実は一応客観的に認識してはいたりするものの、主観的にはまだ生きているという思いが行き来している状態です。

〔第3段階  パニックや怒り〕

自分が制御できなくなりパニック状態に陥ったり、あるいは理不尽で不当な運命に対して激しい怒りが生じたりします。この怒りを制御したり、内にとどめておくと、怒りは反転して自分に向かい、自己破滅に陥ったり、心身の健康を損なったりする危険性があります。

また、周囲の人々や死者に対して敵意の感情を抱いたり、心身の健康を損なったりする危険性があります。

また、周囲の人々や死者に対して敵意の感情を抱いたり、死者に対する自分の過去の行為を悔い、「あんなことしなければよかった」「ああすればよかった」と罪の意識に苛まれたりすることがあります。

〔第4段階  抑鬱と精神的混乱〕

空想の中で死者がまだ生きていると思い込んで、そのように実生活でも振る舞ったり、孤独感に襲われて人間嫌いになったり、気が沈んで引きこもってしまったりします。また、やる気を失い、何をしていいかわからない状態になることがあります。この抑鬱状態はしばしば長く続きます。

〔第5段階  死別の受容〕

つらい現実をみつめ、死の事実を受け入れようとし、ユーモアや笑いを取り戻すことにより、悲しみから立ち上がる状態です。

もちろん、全ての人がこれらの段階をそのまま辿るとは決まっていません。また、言葉で「悲しみ」と表現しても、死別の悲しみの表れ方は多様です。しかもこれは死別に出会った人が陥る自然な心理状態であって、けっして病気ではないということを理解する必要があります。

人の死とは、愛する人にとって心を揺り動かすほどの大変なできごとなのです。

〇悲嘆の処理に失敗する危険

多くの人は葬儀、四十九日、百ヵ日、一周忌という喪のステージ(段階、場面)を踏むにつれて、悲しみの状態を乗り越えて、日常生活に復帰できる状態になります。かつての喪のステージは、死別した遺族の心情に合致したからこそ受け入れられたシステムだったと言えるかもしれません。

しかし、全ての人がこうした辛い悲しみの過程(=グリーフプロセス)を無事通過できるとは、限りません。悲しみを無理に抑制することにより、心身に異常を来して心身症に陥ったり、いつまでも悲しみの状態にとどまったり、あるいは自己破壊から自殺衝動に走ったりする危険性があります。

その徴候は、悲しみ、怒り、敵意を表現しなかったり、異常な科目状態に陥ったり、重篤な睡眠障害に陥ったり、自尊心が失われたり、罪意識をもつ対象が死者以外のものにまで広がったりすることに現れます。こうした状態に陥った場合、精神科医などの専門家の診療を受ける必要があります。

〇死別の非嘆のケア(グリーフケア)

死別によって強い悲嘆に陥っている人へのケア(=グリーフケア)の仕方にマニュアルはありません。個別状況の違いが大きいのです。そのことを理解したうえで次の原則を頭に入れておく必要があります。

1.「忘れろ」「がんばれ」「しっかりしろ」は避ける

悲しみにある人に、悲しい事実を忘れることを強いるのは一般にマイナスになります。むしろ悲しい事実をみつめることが大切です。また、「がんばれ」「しっかりしろ」は励ましのつもりでしょうが悲しみにある人にはかえって負担が大きいのです。むしろ悲しみの状態を理解してあげることが必要です。

2.話を聞いてあげる

悲しみの中にある人に大切なのは、説教したり、助言したりすることではありません。同じ目線に立って、その人の想いを静かに聞いてあげることです。しかし、無理して話をさせることは逆効果になることもあります。相手が話したいときに、その人の想いを吐き出させ、怒りに対しても遮るのではなく、その怒りを発散させることが必要です。

3.一人にしない

孤独感が強い、周りの人に敵意を抱く、そんな状態のとき大切なことは、気をつけて側にいてあげることです。監視するのではなく、その人の側に静かに寄り添ってあげることが必要です。

4.悲しみを避けない

子どもを交通事故で亡くした親にかわいそうだからと傷ついた子どもに会わせない、あるいは残酷すぎるからと火葬場に行かせない、などというのは周りの配慮から出る行動ですが、時折、これが逆効果になり、遺族の死の現実をなかなか受け入れられない結果になることがあります。本人が望むのであれば遮らず、辛い現実であっても対面させることが大切です。

親を亡くした子どもにも「長い旅に出た」「お星さまになった」と現実をあいまいにして説明するのではなく、子どもが真実を知ることを望むなら「死亡した事実」をきちんと説明すべきです。親を喪った子どもは、死の悲しみを論理的に表現できないことがあります。しかし、感情としては理解しており、不安・悲しみが行動などにさまざまな形で現れ、情緒が不安定になったり、暴力的になったり、落ち着きを失ったりします。注意して見守る必要があり、悲しみを表現させる努力が必要です。

5.自分の悲しみの体験を分かち合う

ケアする人が家族の死に出合った体験をもっているのであれば、自分の体験した悲しみを思い起こし、その気持ちを大切にして相手に接することで、しばしば共感し合うことができます。また、そうした体験のない人も自分の場合のことを想像して、その立場で相手に接するとよいでしょう。

6.事務的煩雑さの負担をかけない

死後の事務的な処理が煩雑で、負担になるようでしたら、周囲の人が代行して、その人の気持ちの負担を軽減してあげることは大切なことです。しかし、もしその人が、それをすることを心から望むならば、代行を申し出ることがあっても、無理やりその仕事から引き離すことはマイナスになることがあります。

7.笑いや休息は不謹慎ではない

悲しみにある人が通夜や葬儀の場で他人の冗談に笑っても、疲れて休息をとっても「不謹慎である」と非難してはなりません。本人が自然に行うことであれば、悲しみというストレスには、笑い、ユーモア、休息は必要なことである、と理解すべきです。

8.健康管理に気をつける

遺族は不眠に陥ったり、しばしば健康を害しやすくなったりします。健康に注意することと、適切な運動が必要となります。

〇グリーフワークの今日的状況

家族分散や核家族化が進み、同じ家族であっても同じ程度の悲しみを体験するとは限りません。ある人々は死を納得し、それほどの悲しみも感じない一方で、少数の特定の家族だけが深い悲しみにおちいることがよくあります。誰が悲しみを抱えているか、よく注意する必要があります。

また、最近は長い介護の末に亡くなる方が増えています。かぞくが医師から早い段階で死の告知を受けている場合、入院中のまだ生きている段階なのに、死別の非嘆が家族を襲うこともあります。

さらに、老人ホーム、老人病院、その他の医療機関に長期入院の末に亡くなったときには、死別の非嘆が家族を襲うのではなく、付き添いの人、看護師など家族以外の人に現れるような事態もあります。そのた、家族よりも親しくしていた友人などに悲嘆現象が生じることもあります。

葬儀の場面においては、家族だけでなく、こうした悲しみを体験している死者と身近な人の心にも配慮する必要があります。

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飾りつけ

最近、通夜が告別式同様に会葬者の弔問を受ける場に変化してきたことから、通夜でも葬儀・告別式と同じ祭壇を飾ることが多くなってきましたが、かつては通夜のときは祭壇を飾らないというところもありました。もともと通夜は、遺族にとって死を完全には受容したとは言いきれないことから、正式の祭壇を飾ると死をはっきり認めたことになるというので避けられたようです。香典を持参せず「お見舞い」とする、なども同じ理由によります。

歴史的には、自宅では棺の前に枕飾りを置いて死者を守り、葬儀当日に出棺、葬列を組んで寺院や火葬場に赴き、葬列も道具である野道具を立てかけて葬儀をしました。この枕飾りと野道具の飾りの合体が現在の祭壇と考えられます。したがって、通夜のときには棺の前に枕飾りをそのまま、あるいはそれを多少手直しした程度の飾りつけですませたのです。

近年は斎場(葬儀会館)で葬儀を行うことが多くなりましたが、葬儀などを寺院で行うときには自宅には「自宅飾り」を、寺院では別に「寺飾り」と称する飾りつけを行うところがあります。尚、飾りは宗教宗派や地域によって、また遺族の考えによってもかわるものですから注意と確認が必要です。

 

〇祭壇・祭具の搬入

1.祭壇・祭具はふだんから整理し、きれいにしておきます。

2.搬入前にきちんと道具が揃っているか、傷やよごれがなくきれいになっているかを確認します。

3.道具は原則として宗派に沿った物を用意します。

4.搬入する前に搬入路を確認し、ぶつかる恐れのある物はどけておきます。

5.必要に応じて、搬入口などに傷をつけないように、ダンボールなどで保護処理をとります。

6.搬入の際に落としたりしないよう、注意深く搬入します。

7.搬入したら、作業の邪魔にならないように部屋の隅に置きます。

8.搬入、組み立ては白手袋を着用して行います。

 

〇祭壇・祭具の組み立て、配置

1.組み立て位置、大きさ・高さを現場で再確認します。

2.畳などを傷つけないようにシートをきちんと敷きます。

3.基礎から順に組み上げ、平行になっているか、中心がずれていないか、緩みがないかに注意します。

4.祭具も中心から対称になるように配置します。

5.本尊については、寺院から指定ある場合はそれを用い、宗派を確認してまちがいのないようにします。

6.本尊は丁寧に扱い、画鋲で留めたり、また、何かで遮らないようにします。

7.組み上げた後、平行になっているか、中心が合っているか、左右が対称になっているか、祭具の位置が正しいか、などを落ち着いて点検します。

8.柩は礼節を尽くして、ていねいに所定の位置に移動します。移動前と移動後には深く一礼して合掌します。柩は原則として頭部を北または西向きにします。

9.経机を配置し、燭台、香炉、花立てなどを調えます。

10.作業中、柱、壁、ふすま、天井その他を傷つけることのないように注意します。

11.作業中は私語を交わしたりせず、てきぱきと作業を進めます。

12.作業中は足の踏み場のないように散らかしたりせず、一つ一つ整理しながら進めます。

13.作業後、片づけをし、清掃します。

14.作業が終了したら、遺族に確認してもらい、式前には必ず僧侶にも確認してもらいます。

キリスト教、神道による葬儀の設営にあたっては、宗教者の意向を確認し、必ず宗教者の確認を得る必要があります。

 

飾り付けも、最近では祭壇飾りだけでなく、門前、庭、式場への通路、その他式場全体の飾りが多くなっています。特に戦後になって葬祭業者や葬具販売業者が工夫、開発してきたものです。どういう飾りを行うかは、費用の問題もありますし、遺族の希望や感性の問題もあります。また、宗教儀礼として行う場合には、その宗教宗派に合うことも考える必要があります。

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枕経、遺体処理、納棺

〇枕経

起源は中世の浄土教の時代の、誦経(ずきょう)・念仏した臨終行儀にあるといわれており、亡くなったらできるだけ早く檀那寺(真宗ではお手次寺)に連絡して僧侶にきていただき、枕飾りのできたところで読経していただきます。この時、喪服ではなく、通常の衣服を整えて出ればよいとされます。

宗派により考え方が異なりますが、故人に対して読経してきかせる、または仏壇の内仏あるいは本尊に向かって読経するという考え方があります。既に戒名(法名、法号)をいただいているときは申し出、そうでないときは個人の人柄などを話しておきます。

最近では、通夜のときに枕経をあげることも少なくありませんが、本来は死亡直後につとめます。キリスト教の場合には、危篤、臨終のときから神父または牧師が立ち会うことが原則になっています。

 

〇遺体処置

一般的には、枕経の後納棺します。遺族によっては、一晩は自宅の布団に寝かせて、翌日に納棺を希望する場合もありますが、遺体の状況や天候により、翌日までのばすことが可能か適切に判断するようにします。

納棺に先立ち、湯灌、死化粧、遺体衛生保全(エンバーミング)などの遺体処理を施すことがあります。

 

〇湯灌

湯灌は、①昔ながらの湯灌、⓶湯灌業者による湯灌があります。

①昔ながらの湯灌

たらいに水を入れ、それにお湯を注ぎ、遺体を洗浄します。水にお湯を足すという、通常とは逆の方法で温度調節をするので、「逆さ水」と呼ばれますが、最近では病院で死後の処置がなされてくることが一般的になったため、行われることが少なくなりました。

⓶湯灌業者による湯灌

車に浴槽を積み込み、自宅を訪問して、あるいは民間斎場内の湯灌室にて湯灌のサービスを行います。一定の儀礼形式を踏み、布で遺体を隠し、シャワーで遺体を洗浄して、着替え、化粧までを施すものです。

しかし、湯かんを行う人の健康の問題や浴槽の水の廃棄処理の問題など、公衆衛生上の配慮が必要です。また、内容の説明、料金の明示と遺族の同意は必要条件です。

 

〇エンバ―ミング(遺体衛生保全)

エンバ―ミングは、北米では南北戦争(1865年)のときに戦死者を遠隔の故郷に遺体のまま移送する必要性から一挙に普及し、現在では約9割の遺体に施されています。また、北欧・英国でも約7割に施されるなど国際的に一般的な遺体処理の方法です。

体内を固定して殺菌して公衆衛生上安全な状態にすると共に腐敗を止める、顔などを整え修復することなどから、特に事故・災害遺体や解剖後の遺体の修復においては必要性の認識が高まっています。

但し、遺族に対して処置内容を説明して同意書を得ること、尊厳とプライバシーに配慮した処置、必要な訓練課程を修了した技術者による処置が必要とされており、さらに廃液処理においても地方自治体への届出義務があります。

日本ではI F S A(日本遺体衛生保全協会)が自主基準を作成し、エンバ―ミング施設を厚生労働省などへ届け出て行うことを取り決めています。本格的なエンバ―ミングは1988年に開始され、年々増加の傾向にあります。

 

処置の概要は次の通りです。

➊脱衣

全身を確認し、損傷部位がないかを調べます。

❷消毒・洗浄

全身をスプレーで殺菌し、洗浄、洗髪します。

❸口腔などの殺菌

❹髭剃り

❺顔の処置

口を縫合し、閉じて形を整え、目にアイキャップを挿入し、形を整えるなどして顔を整えます。

❻動脈・静脈の剖出と注入管・排出管の連結

皮膚を小切開し、体表近くの動脈と同部位の静脈を剖出。動脈にエンバ―ミングマシーンに繋がる注入管を連結、静脈には排出管を連結します。

❼防腐前液の注入と血液の排出

❽防腐固定液の注入

メチルアルコール、ホルマリンなどからなる防腐固定液を全身をマッサージしながら全身に行き渡らせるように注入します。この薬剤には色素などが配合され遺体の表情に赤みを与えます。

❾体腔への防腐液の注入

体腔の一部を小切開し、内容物を排出し、防腐液を注入します。

❿切開部の縫合

⓫全身の洗浄

⓬修復

修復を必要とする部位の修復をします。

⓭着衣・化粧

遺族の希望する服を着せ、化粧を施します。

 

〇その他の遺体処理

「納棺師」「死化粧」などと言われる遺体処理を専門とする業者が出現しています。病院による死後の処理をより本格的にした処置まで施すことにより、それぞれ評価を高めていますが、作業を行う人たちに公衆衛生上の教育、廃水の処理などが課題となります。

一般的に葬祭業者が行う遺体処理は次のものです。

1. 搬送後の遺体の乱れを修復する。特に血液や体液の漏出に注意し、ゴム手袋を着用する。

2. 軽く顔などの表面を消毒用アルコールで拭く。

3. 着替えを行うか、上から死装束を被せる。

 

〇死装束

かつて故人に着せる死装束は、故人とゆかりのある女性の手によって、糸尻を止めずに縫われました。僧や巡礼者の姿になぞらえ、白木綿に経文を記した、明衣、浄衣とも言われる経帷子(きょうかたびら)です。

経帷子を左前に着せ、三角頭巾を額にあて、手甲をつけ、脚絆を巻いて、白足袋に草履を履かせ、六文銭を入れた頭陀袋を首にかけ、杖を手にし、という西方浄土に旅立つ旅姿をとります。浄土真宗系では冥途の旅を否定しますので、こうした服装はせず、白衣や遺族心づくしの晴れ着を着せます。そして胸に組んだ両手には木製の念珠(数珠)をかけます。最近では、本格的な経帷子の使用が少しずつ減少する傾向にあります。

 

〇納棺

湯かんなどの遺体処理、着替え、納棺は一連の作業として行われることが一般的で、遺族や親しい人にてつだってもらって行います。指輪や装身具は、後から紛失したなどの問題が生じないよう、遺族立ち会いの下で外します。副葬品については、火葬の際に、

1. 爆発のおそれのあるもの

2. 燃えないもの

3. 遺骨を傷つけたり着色するおそれのあるもの は避けることをアドバイスします。

具体的には、ペースメーカー(病院で除去してもらいます)ガスライターなどの爆発のおそれのあるもの、メガネや酒の瓶などのガラス製品、金属でできた釣り竿やゴルフクラブ、金属製の仏具などです。

また、ゴルフボールは炉の中で回って遺骨を傷つけるおそれがあります。

 

〇ドライアイス

エンバ―ミング(遺体衛生保全)した遺体の場合には不要ですが、一般的には腐敗の進行を遅延させるためにドライアイスを入れます。胃や腸の腐敗は早く、腐敗ガスを発生させますから、胸から腹部が中心で、喉元(側頭部)と下腹部がポイントになります。夏場や脳溢血のときなどは量を増やして使用することがあります。ドライアイスは遺族にとって気持ちのいいものではありませんので、目に触れないように処置します。

また、ドライアイスは二酸化炭素を排出するので、搬送時には車内の換気に注意しましょう。また、出棺の際にはドライアイスを除去します。最近の斎場では、冷蔵庫による保管も多くなっています。

 

〇遺体取り扱いの公衆衛生上の配慮

湯灌、納棺などの遺体処理、取り扱いの際には、安全のための対策を軽視してはなりません。素手で作業することが遺体を大切に扱っていることになるという誤った考えは、まだまだ多いようですが、これでは感染するおそれがあります。むしろ衛生上の配慮をきちんとして作業にあたることが専門家として正しいあり方です。

遺体処置にあたっては少なくとも使い捨てマスク、使い捨てビニール手袋は必ず使用します。取り扱い後にはうがいをし、流水で手をよく洗い、消毒用アルコールで消毒します。

 

〇遺体の変化

➊死斑

心臓が停止して血液の流れが止まると、血管内の血液は下のほうに集まります。上になった部分の皮膚は蒼白になり、下になった部分の皮下の静脈には血液が溜まっていきます。 この溜まった血液の色が皮膚を通して見えるのが死斑です。死亡後20~30分で点状の斑点が出現し、死亡後2~3時間で斑点が融合します。死後10時間くらいまでは死斑は固定しませんが、20時間以上経過すると固定します。

❷死後硬直

死後2時間くらい経過すると、筋肉内のグリコーゲンの減少と乳酸の増加に伴ってアデノシン三リン酸(ATP)が減少します。この化学反応のため次第に筋肉が硬化し、関節が動かなくなる現象が死後硬直です。

死後2時間くらいで顎関節に現れ、順次全身の筋肉および、6~8時間で手足の筋肉に明確に認められるようになります。8~10時間くらいまでは、筋肉に力を加えて伸ばすと柔らかくなり、再び硬直を起こします。死後およそ20時間で硬直は最も強くなります。その後は腐敗が強まるため、死後硬直は次第に溶けていきます。

❸腐敗

遺体の腐敗は消化器系である胃や腸から始まります。

死後1時間内外で腸内細菌の増殖が認められます。また、死亡すると胃酸や腸の消化液が胃腸そのものを溶かし、酵素による自家融解を起こします。

腸内細菌の繁殖と胃腸の融解によって腐敗が進行し、腐敗ガスが発生します。この腐敗ガス中に含まれる硫化水素が血液中のヘモグロビンと結合して硫化ヘモグロビンが作られると、腹部が淡青藍色に変色します。この変色が全身に波及し、さらに腐敗ガスが発生すると、全身が膨らんでいきます。腐敗が進行すると、全身は次第に暗赤褐色に変色し、膨らんだ死体は巨人のような外観を呈します。さらに腐敗が進行すると乾燥し、体表は黒色に変色し、体の組織は腐敗汁を出して融解し始め、遂には骨が露出されます。
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打合せ

打ち合わせに入る前には挨拶し、名刺を出してきちんと名乗る必要があります。その上で、打合せをする相手が誰か、故人との関係もきちんと確認する必要があります。決定権のない人と打ち合わせをして、後から行き違いがあってはいけません。また、相談する相手は1人とは限りません。場合によっては僧侶、牧師といった宗教者を交えて行うことのほうがいいこともあります。信頼できる第三者を加える場合もありますので、遺族の状況を判断し、相手の意思を充分にくみ取って決めるべきでしょう。

 

「喪主」と「施主」は一般的には葬儀を主宰する人という意味で同じように用いられますが、厳密には異なります。

施主は布施する人ということから転じたと言われ、葬儀の金銭面の負担もして運営の責任を負う人です。戸主が亡くなり跡継ぎの長男が未成年のとき、叔父が後見人となり運営の責任を負うなどの場合、長男が喪主、叔父が施主になります。社葬の場合には、喪主は遺族で、施主が企業になります。

喪主を誰にするかは、戦後の民法の改正により、家の祭祀権を承継する者と遺産の相続とは分離されたため、本人が祭祀主宰者を指定すれば誰でもよいことになりました。そこで、故人が指名した人がいないかを確認しておきます。

もし本人が指名した人がいない場合には、世帯主以外が死亡したときには世帯主、世帯主が死亡したときはその配偶者または子どもとするのが一般的です。まれに複数(配偶者と長男、子どもたち等)が共同で喪主を務めることもあります。

 

打ち合わせになると、すぐ祭壇の大きさや費用の見積に入るケースが少なくありませんが、まず遺族の葬儀に対する思いを聞き取ることが重要になります。故人はどういう人だったのか、葬儀に対して言い遺しておいたことはないのか、故人に対する遺族の想いなど、にまず耳を傾けることが必要です。遺族は精神的な衝撃を受けていることが少なくないため、その想いを相手に吐き出させることが、心の傷の癒しにとっても重要なことなのです。「打ち合わせの場は最初のカウンセリングの場」という考え方もあるほどです。

葬儀の施行を引き受けるにしても、遺族の想いを充分に理解し、遺族の想いに耳を傾けて、初めて葬儀の相談に入ることが可能となるのです。

 

遺族にすれば葬儀の経験はあまりないのが一般的です。業者には、消費者契約法により説明責任・情報提供責任が課せられています。注意すべきことは、選択し決定するのは遺族の権利だということです。アメリカでは、消費者保護のため、料金の提示をする際どれにするかを勧めてはならないと法律で定められています。

日本の消費者契約法においても、消費者の主体的な選択・同意が条件になっています。葬祭業者には、遺族が主体的に選択・決定できるだけの情報を消費者の目線で提供する責務があるということです。

 

葬儀を考える際に、最も重視すべきことは「故人中心」ということです。送る者が故人に想いを集中することが良い葬儀を実現するポイントになるのです。ですから、故人が生前言っていたこと、書き残したことなど、故人の考えを中心に進めたとき、葬儀もうまくいくケースが多いようです。最近では自分の葬儀の仕方について、生前予約まではいかないにしても、生前に本人が希望を表明するケースが多くなっています。

 

見積もりに入る前に、相互の考え方にくいちがいが生じないように「基本方針」を確認することが必要です。葬儀業者も、遺族の考え方や意向を理解することができます。

「基本方針」は記録しながら進めます。決して「急がせられた」「押しつけられた」と相手が感じないように、要領よく進めながらも理解を得ながら、遺族があくまで選択・決定する形で行います。生前予約、企業・団体契約、互助会掛金などについては、事前に確認し、その扱い方法を選択してもらいます。

 

「基本方針」の内容は、

①宗教

故人の信仰を最優先し、特にない場合には檀那寺に依頼するか、あるいは特定宗派によらない方式(無宗教)で行うか、または適当な宗教に依頼するかを決めます。

檀那寺に依頼したいが遠方のときは、まず檀那寺に連絡して別の寺院の紹介を受け、その紹介を得られないとき、同じ宗派の寺院を斡旋するという手順で進めます。

葬祭業者は、紹介依頼を受ければお手伝いするが、基本的には遺族が責任を負うべき問題とする姿勢が必要です。その際は遺族のためになる信頼できる寺院・教会を紹介するよう努める必要があります。

⓶方式

個人葬か社葬・団体葬か、会社・団体や町内会などとの関わりをどうするか、身内だけの密葬にするか、改めて本葬あるいは偲ぶ会のようなものをするのかなどを決めます。

③式場

会葬者の予測人数、葬儀の方式などを考慮し、自宅や寺院でするか、民間斎場や火葬場付設の式場、集会所を利用するかなど検討し、遺族の希望を確認します。

④日程

寺院などの都合、家族・親族への連絡や集合の都合、地域社会での行事の都合(祭などとぶつからないか)、式場や火葬場の都合などを考慮して決めます。葬儀期間中の日程表(時刻表)を別にパソコン等で作成し、遺族・関係者に渡しておくようにします。

⑤告知

町内会への連絡、企業・団体への連絡、新聞広告の有無などを確認します。

⑥接待

通夜振る舞い、火葬場での茶菓子、料理、供養品、香典返し、など参列者、会葬者への接待方法、数量を確認します。

⑦設営

祭壇、式場設営などについての希望を確認します。彫刻祭壇、脇生花、生花祭壇、オリジナル祭壇など基本的な希望を確認します。また、写真を用いてのメモリアル(思い出)コーナーのようなものを設営するか、ビデオ放映するか、なども確認します。

➇予算

香典を受け取るか、考えている予算の範囲、その予算には寺院関係費用、接待関係費用も含むかなど確認します。

⑨希望

遺族の側に特別な希望や心配事がないかを確認します。

⑩優先順位

予算その他により、希望が満たされないことが明らかなときは、それを指摘して、どれを優先して考えるべきかの判断を求めます。

⑪役割

受付、接待、その他、町内会、企業などの役割を確認します。

⑫その他

遺影写真、家紋(必要なとき)礼状の作り方などを確認します。

 

最後に基本方針の確認を行います。記録したものを改めて読み上げて確認をとります。

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遺体の引き取り、安置

1.病院受付またはナースステーションに出向いたことを報告し指示を仰ぎます。

2.担当の医師または看護師に挨拶し、遺体、遺族の確認をします。

3.遺族に挨拶し、電話内容の確認、その他必要な内容の確認を行います。

4.遺体にていねいに一礼してストレッチャーに載せます。(必要な場合には納棺を行います。)必要に応じて遺族にお手伝いを依頼します。

5.担当医師、看護師に挨拶して遺体を搬出します。

6.遺体を車に入れるときには、頭部を先にします。

 

〇注意すべきこと

1.遺体の状況、感染症の有無など、できるだけ病院側から情報(守秘義務あり)を聴取します。

2.遺族に業務の依頼内容を改めて確認します。

3.遺族の心痛に充分な配慮をします。

4.遺体の扱いについては充分な礼をこめて行います。

5.訪問時刻の厳守はもちろんですが、事情があり遅れると判断したらできるだけ早く連絡しておきます。

6.遺族に遺体の安置先の準備を依頼しておきます。

 

〇遺体の安置

1.到着の挨拶を行い、安置場所を確認します。

2.遺体の搬出、移動には必要に応じて遺族にお手伝いを依頼します。

3.安置する際には、遺体の頭部を北向きまたは部屋の状況に応じて判断します。(「枕直し」と言い、仏式においては釈尊が入滅したときの「頭北面西右脇臥」の姿勢にならい、頭部を北にし、顔を西に向ける姿が基本とされます。そのことを承知のうえで遺族と相談して決めます。キリスト教などの場合には関係ありません。)

4.枕飾りなどの準備をします。

5.遺体に一礼し、遺族に挨拶します。

 

〇遺体安置で注意すべきこと

1.遺体を傷めないように、冬であれば安置している部屋の暖房を切ってもらうようにします。

2.腐敗が進まないように、敷布団は1枚に、掛け布団も薄いもの1枚にするようにします。(民俗的な習慣から、死者の世界は逆だとして掛け布団を上下逆にすることもあります。)

3.仏式の場合には、両手を胸で合掌させ、数珠を持たせます。(この段階で顔に白布を被せることには諸説あります。土地の習慣などから判断し、遺族と相談して決めるとよいでしょう。)

4.習慣は承知している必要がありますが、安置する部屋の状況や遺族の考えも考慮して、適切に判断して進める必要があります。

5.搬送した際に脱脂綿などが脱落して体液などが漏れたり、髪が乱れたりすることがあるので、点検して整えておきます。(ゴム手袋を着用すること)

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遺体と公衆衛生

〇感染症は告知されない

遺体を取り扱う人が注意すべきことは、遺体からの病気の感染です。遺体が危険な感染症を有している場合、病院は業者に対して、感染症の広がることを防ぐという感染症新法の精神から言っても、その真実を告知する責任があると思います。しかし、残念ながら守秘義務を盾にして感染症の事実の告知が行われないケースが多いという現実があります。

また、各種解剖の結果、初めて感染症の保有がわかるケースもあり、この場合、判明した頃には葬儀が済んでいたというのがほとんどです。

したがって遺体を取り扱う業者は、全ての遺体には、危険な感染症があるものという前提で対処する必要があります。

〇死体からの感染がないもの

感染症といっても全てが死体から感染するわけではありません。死体からの

感染が通常ないものには次のものがあります。

肺炎、ハンセン病(らい病)、髄膜炎菌感染症、破傷風、菌血症、

敗血症、A型肝炎、成人性T細胞白血病、狂犬病、クラミジア感染症、

梅毒、ワイル病、真菌感染症

〇感染症新法で指定されている感染症

1999(平成11)年4月「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関す

る法律」が施行され、これにより、これまでの「伝染病予防法」(明治30年制定)

が廃止されました。

この法律において「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、

四類感染症、指定感染症及び新感染症を言います。

一類感染症とは、エボラ出血熱、クリミア・コンコ出血熱、ペスト、マール

ブルグ病及びラッサ熱です。

二類感染症とは、急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフ

ス及びパラチフスです。

三類感染症とは、腸管出血性大腸菌感染症です。

以下の一類・二類・三類感染症の患者の場合、原則火葬とされ、24時間以内

の火葬が許されています。

四類感染症とは、「インフルエンザ」、ウイルス性肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、

クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、

麻しん、マラリア、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症その他の既に知られ

ている感染症の疾患であって、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものと

して厚生省令で定めるものを言います。

その他、必要に応じて指定感染症あるいは未発見の新感染症が対象とされま

す。

※SARS(新型肺炎)は新感染症に指定されました。

〇取り扱いに注意を要する感染症

①MRSA

「院内感染」と言われる病院内の感染で、しかも濃厚感染の場合に問題とな

ります。体力の弱った手術直後の患者や老齢の長期入院患者に対しては危険

性が高くあります。

健康体であれば感染の危険はないとされていますが、体力の弱っていると

きには注意します。二次感染の危険もあるので、取り扱い後の消毒は心がけ

ましょう。

②C型肝炎

感染経路が多岐にわたっており不明な点が多いので、血液、体液には触れ

ないように注意します。但し、血液、体液以外の通常の接触であれば感染は

ないとされています。

③リケッチア感染症

病原微生物の1つリケッチアは、虱、蚤などの体内にあります。虱や蚤は

死体の体温が低下すると死体から離脱しますから、死体からの感染はありま

せん。しかし寄生していた虱などが着衣や寝具に移動するので、衣服の着脱

や寝具の移動を行うときには注意が必要となります。

以下、注意を要する感染症について述べます。

〇結核

死体内の結核菌は長時間生き続けます。目、鼻、気管支の菌は乾燥し、死体

の向きを変えたとき、衣服の着脱時、納棺時などに体内から放出されます。また、

結核患者が生前使用していた寝具、着衣には多量の結核菌が付着しているので

注意が必要です。

結核死体は高齢者に多く、その特徴は、胸部に変形があり、異常に瘦せており、

リンパ節腫脹(はれもの)があることです。

結核菌は紫外線に弱いので、使用した棺覆い、ストレッチャー、白衣などは

晴天時に30分以上太陽の光にあて、使用した車も窓を開け、風通しをよくしま

す。使用した器具等は消毒剤(ヒビテン、エタノール)で消毒します。

防護方法は、取り扱い時にマスクを着用し、終わった後にうがいをすること

です。

〇B型肝炎

B型肝炎ウイルスは通常の状態で7日以上生存するため、火葬までの間危険

が続きます。最も危険なもので、葬儀従事者は予防としてワクチンを接種する

ことが望まれます。

死体から漏れ出た血液は、体液は、有効消毒剤で拭き取るか、できるかぎり触

れないようにします。

空気感染はないので、ゴム手袋を着用することにより防ぐことが可能です。

ゴム手袋の使用が不可能な場合でも、傷のある手で触れてはいけません。

取り扱い後、流水で手をよく洗い、消毒剤(0.1%ミルトン液に1分以上)で

消毒します。消毒用アルコールも流水と一緒であれば効果がみられます。

〇エイズ

血液、体液の濃厚接触に注意します。通常の接触ならば問題はないとされ、

素手で死体に触れる程度では感染はおこりません。但し、取り扱い時には使い

捨てのゴム手袋を着用し、終わったら必ず捨てます。

エイズは死亡診断書(死体検案書)の死亡欄にはっきりと書かれることがあ

りません。呼吸不全、肺炎、髄膜炎、多臓器不全、結核症、免疫不全などと書

かれることが多いようです。自殺死体にもその動機となったエイズが記載され

ることはないので注意が必要です。

〇遺体の取り扱い方の一般原則

遺体取り扱い者は、遺体がどんな感染症をもっているかわからないとき、それなりの対処をする必要があります。事前にできるだけ病状について医師から情報を得るように努めることは大切なことです。葬祭業者の仕事に対する医療側の理解を求めたいところです。

また実際にはB型肝炎がとりわけ危険ですので、遺体を取り扱う人にはワクチン接種を義務づけるのが望ましいと思います。

全ての遺体は、感染症を保持している可能性があるものとして扱う必要があります。

そのため、

①まず使い捨てマスクと使い捨てゴム手袋を着用します。

⓶手に傷のある場合には取り扱わないか、手袋を二重にします。

③取り扱い後、うがいをし、流水で手を良く洗い、消毒アルコールで消毒します。

④遺体を移送する場合には、使い捨てシーツを使用し、胸を圧迫しないように優しく包んで運ぶように注意します。

感染症法により指定された一類・二類・三類の感染症を保有する場合など危険な遺体については、着衣をそのままに納体袋に入れ、密閉します。医師の指示に従って注意して取り扱います。

遺体は公衆衛生上、必ずしも安全ではありません。できれば白衣を着用するなど、専門家としてきちんと取り扱います。しかし、どのような遺体も尊厳は守らなければなりません。

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死の環境

 

〇臨終

「臨終」とは「死に際」のことです。交通事故など突然の死もありますが、現在その多くは病院で迎えるようになっています。

その病院では近年、延命だけを目的に最期まで治療を続けるというよりは、本人とその近親者が最期の時をどうやって迎えることができるかというクオリティ・オブ・ライフ(=生命の質)を大切に考えるようになってきました。本人や家族がよりよい別れの時をどうもつかを重視しているということです。

臨終は、本人にとってはもちろん、近親者にとっても大切な時です。最期の看取りをし、きちんと別れが行えるかということは、近親者の後の心にも影響を与えるからです。

本人が安らかに最期の時を迎えることができるように、家族の者は医師と充分なコミュニケーションを図るよう努めると共に、本人が会っておきたい人や近親者へは連絡をとって、来てもらえるよう手配するのが望ましいと思います。但し、本人の疲労度なども考慮して、医師と相談の上、適切に行う必要があります。

離れて住む家族への配慮も大切にしたいものです。最期に立ち会えず、よい別れができないときは後々まで近親者の心の傷になりますから、周囲の人も本人や離れて住む近親者の想いに配慮してあげることが大切です。

また、とかく看病は特定の人に集中してしまいがちです。本人に対する精神的なケアだけでなく、負担の集中する家族への精神的ケアも大切です。

キリスト教では神父、牧師を枕元に招き、本人のために祈ったり、力づけたりしてもらうことがあります。キリスト教に限らず本人が深い信仰を抱いているときには、本人が希望するなら、信頼している僧侶など宗教者を臨終の床に招くことは大切なことです。

〇死の場所

2001(平成13)年の死亡診断書に見る死亡の場所は、次のようでした。

死亡の場所

①病院     78.4%  (1955年 12.3%)

⓶自宅     13.5%  (1955年 76.9%)

③診療所     2.8%  (1955年 3.1%)

④老人ホーム   2.0%  (1955年 —)

⑤老人保健施設  0.6%  (1955年 —)

⑥その他     2.7%  (1955年 7.7%)

1955年(昭和30)年と比較すると、自宅での死者と病院での死者の割合が逆転しています。

住宅死亡率が高いのは、

①長野・新潟  18.7%

③和歌山    18.2%

④滋賀     17.3%

⑤山形     17.0%

反対に低いのは、

①北海道    8.1%

⓶長崎     9.7%

③福岡     9.9%

自宅外での死亡が一般化するなかで、「最期は自宅で」との希望も高まりつつあります。

〇死亡者数の推移

高齢人口が増えると共に、死亡者数は増加の傾向にあります。過去のデータと厚生労働省の将来推計から総人口・出生児数・死亡者数・死亡率の推移と予測を見ると、死亡者数は2035(平成47)年には現状の約1.8倍になると推定されています。出生児数は2006(平成24)年あたりを境にして死亡者数を下回っていくと予測されています。

〇増える老年人口

死亡者数が今後増加するのは日本社会の高齢化が進むためです。全人口を100とした場合、年齢3区分別{年少(0~14歳),生産(15~64歳),老年(65歳~)}の1950年~2030年の推移と予測を比べると、2015(平成27)年以降は4人に1人が高齢者という時代を迎えます。将来の年金問題、老人介護の問題が大きな社会的課題になると共に、葬儀費用への影響も考えられます。

〇高齢者の死の割合の増加

戦後、死亡者数に占める高齢者の割合が急激に増加しており、これが葬儀に対する感覚を大きく変える要因になっています。つまり、死はいつ誰に起こるかわからないもの、という伝統的な無常観に代わって、死は高齢者のものという観念が強くなっています。

全死亡者数に対する高齢者(65歳以上)の死亡者数の割合と全死亡者数に対する80歳以上の高齢者の死亡者数の割合をグラフに示してみると、1920(大正9)年には、65歳以上での死者は19.5%、80歳以上の高齢での死者は全体の3.8%にすぎませんでしたが、2001(平成13)年では、79.5%が65歳以上の高齢者で、80歳以上の割合も44.5%でした。死亡者の高齢化傾向は今後いっそう進むと予想されます。

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葬儀社の選び方「担当者の人柄を見る」って何?

担当者の人柄を見るとは

葬儀社の選び方の一つに「担当者の人柄を見る」

というポイントがあります。

「人柄を見る」なんとなく意味が分かりそうで分からない。

葬儀社選びというお困り事を解決するために

実際にあったお葬式を元に事例をあげて説明します。

=============================

ある日のお昼、式場の事前相談スペースにおいての来店の対面相談です

昨夜の深夜にご兄弟の方が亡くなられたそうです。

兄弟の事で突然だったので葬儀社を決めていなかったため

病院から紹介された葬儀社にお迎えをお願いし、

その葬儀社の霊安室に安置をお願いしたそうです。

通夜・葬儀という形ではなく、事情もあるため

火葬式(葬儀を行わない火葬のみ)をご希望でした。

現状とご予算をお伺いし、お手伝い出来る部分をご説明しました。

つまり、安置場所は他社の葬儀社で、そこから移動を行い、

弊社にお願いをするという事です

ここでの注意点は

病院から霊安室までの搬送費用や霊安室料、1日分の

ドライアイスの費用は病院から紹介をされた

葬儀社にお支払いをするという事です

そこから弊社が対応する為、弊社へのお支払いももちろん発生します

両方を合わせるとご予算をオーバーしてしまうのです。

ご兄弟の中で色々と検討された結果、最初の病院のお迎えの費用や1日分の霊安室料を

お支払いしたとしても他社の葬儀社から変更して

弊社に今後をお願いをするとの事でした。

ご予算を多少オーバーをしておりますが、それでも良いとの事です。

弊社に相談された時点で費用の面をとても気にされておりましたので、

不思議でなりません。

しかしその理由が他社の霊安室にお迎えに上がった時に

その理由がわかったような気がしました。

それはなぜかと言うと担当した方の対応が表面上は良さそうなのですが、

なんとなく嫌な感じを醸し出していたからです。

それはご家族とお話をする場面ご家族の見ていないところでの所作

同業者に対する対応の仕方などなど、あまり快くない対応でした。

表情を見る限り、目が怖いのです。

同業者も威圧感を感じるほどです。

葬儀の仕事は目配り気配り心配りと言われております。

担当者の印象でご家族のお葬式に対する気持ちも変わります。

ご家族とその後お話をしましたが、やはり嫌な感じがしていたとの事です。

特に断る際には露骨に嫌な顔をされ、かかった費用も急に割引をされ

そこからも引き止めようとされたとの事でした。

無事に霊安室から弊社の霊安室に移動が終わり

打ち合わせもある程度決まっておりましたのでスムーズに進みます。

翌日は友引でしたので翌々日に10名様お集まりの中、

ゆっくりとお別れを行って頂きながらお見送りをして頂きました。

=============================

担当者の人柄を見るポイントとしては

「見た目の印象はどうか?」

第一印象で引っかかる部分は無いか

「会話だけでなくふとした所作はどうか?」

歩き方、ドアの締め方、後ろ姿、この人に大切な方を任せても大丈夫かどうか

「対応に心がこもっているかどうか?」

話し方、安易に割引などで気を引こうとしていないか

今回のケースから見えてくるポイントです。

「担当者の人柄を見る」は事前相談の段階で可能です。

ぜひお役立てください。

ちなみに今回のケースは

病院から紹介された葬儀社に安置されたとしても、まだ断る事ができています。

「嫌な印象だけど安置まで済んだから断りづらい」そんな時は

ご相談ください、費用の面でも対応の仕方も一緒にサポートします。

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ご挨拶からわかる良い葬儀社の見分け方

ご挨拶からわかる良い葬儀社の見分け方

15時頃お電話を頂きました

「今ホームページを見て、メールで問い合わせをするのが難しいので電話しました。

電話で相談も可能ですか?

今日これからお通夜なんです。

明日の告別式で来て下さった方に挨拶をします

葬儀屋さんに挨拶文例集を貰って見ているんですけど

どうもしっくりきません。どうしたら良いですか?

319340

1つ目は『ご会葬、ご焼香を賜りまして~』とあるけどこのときはお焼香はまだですよね?いつかしら?

2つ目は『生前同様変わらぬご指導~』とあるけどいろいろあって生前同様は使いたくないの、何かアドバイスを下さい」

という内容のお電話です。

「あくまで挨拶文例集ですので参考にすると良いと思います。

1つめの質問は地域にもよりますが、一般的にはお坊さんの読経中に皆様が順番にお焼香

を行います。ご挨拶のタイミングが読経が終わった後であればご焼香を賜りましてと入れて

頂いても変ではないですよ」

とお答えしました。

他の葬儀社からどのように説明があったかはわかりませんが、

進行の流れを大まかな部分だけで説明したのかもしれません。

逆に一から細かく説明すると沢山の説明があり過ぎて理解が追い付かない事もあります。

葬儀社側としてはその時の状況や雰囲気、バランスが大事です。

お困りごとが出てきた場合はすぐに相談しましょう

もしかすると他社の葬儀担当者が忙しそうなところを気遣って

いろいろとご自身で悩まれ、弊社に相談されたのかもしれません。

相談しづらい状況を作るという事はいかがなものでしょう

2つ目については「参考にして頂く部分ですので無理に入れなくても良いと思います。

これからは残された家族が力を合わせて生きていきますなどはどうでしょうか」

とお答えしました。

ご挨拶の大事な部分としては、感謝を伝え、これからの決意をする事だと思います。

今回のケースは日数やお時間の限られた中での打ち合わせで、なかなかご家族の背景を伺

うことが出来なかったことが考えられます。

最近では「家族だけ、身内だけだから形だけでいいのよ」という声も聞きます。

「親しき仲にも礼儀あり」、そこで挨拶をする場を設けることの意味、お話の内容、近い関係だ

からこそ一つ一つきっちり行う事が必要になります。

なぜこのタイミングなのか、これは何の意味なのか、

葬儀社としてしっかり答えることができるかで対応の良し悪しが表れていきます。

多くの方が初めての葬儀という不安が多い中で、葬儀担当者としてはどんなことでも相談しや

すい人柄や常にご家族に配慮出来ているかが求められています。

まとめると、良い葬儀社を選ぶためのコツとして

「分からない事、不安な事を解決してくれるかどうか」

なおかつ「相談しやすいかどうか」これが大事です。

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価格要素だけで葬儀社を比べると…

今回は、葬儀費用の比べ方について考えていきたいと思います。

インターネットの普及により、葬儀費用についても、以前より
情報が得られ易い時代となりました。

様々なHPで葬儀費用が表示されており、その価格もそれぞれでございます。
ここで気を付けたいのは、HPの表示価格だけで、葬儀社を比べることは出来ない
という点です。

どういうことかと言いますと、まず、表示されている内容をみて、何が含まれていて
何が含まれていないかを理解するのは難しいということ。

そして、祭壇や棺などがプランに含まれていたとしても、どの様な内容のものがそのプランには
含まれているかという、質までは比べることが出来ないということです。

中には、安かろう悪かろうのプランを見せておいて、実際の打合せの際にあれもこれもと
見積りをあげていく葬儀社も存在し、この様な葬儀社を選んでしまっては、後悔先に立たずとなってしまいます。599550

また、対応する担当者の質も葬儀社によってそれぞれです。マニュアル通りにしっかりと対応する葬儀社も
あれば、ご遺族とのコミュニケーションを大切にし、臨機応変に対応する葬儀社もあるでしょう。

しっかりとした対応の中にも、人と人とのサービスですので、合う合わないもでてくるかと思います。

つまり、葬儀というサービスにおいては、葬儀社によって人と設備の質が異なり、
ソフト(人)とハード(設備)が異なるサービス(商品)を価格要素のみで比較するというのは、
実質不可能ということなのです。

価格要素だけではなく、総合的に判断することが大切に思います。

では、どの様に葬儀社を選べばよいのかは、以前の記事を参考にして頂ければと思います。

葬儀社の選び方はこちら

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